~はじめに~
安定剤・睡眠導入剤として幅広く使われている薬にベンゾジアゼピン受容体作動薬(以下BZD)というものがあります。BZDは抗不安作用、催眠作用にすぐれ、安全性の高い薬として精神科領域のみではなく、一般科においても広く処方されているお薬です。
しかし、最近の研究の結果、BZDを長期間服用することで色々な悪影響がでることがわかってきました。BZDの長期服用により60歳以上の高齢者で転倒リスクが高まることが報告されています。それに伴いBZDを服用している人は、飲んでいない人に比べて股関節骨折の危険性が1.4倍高くなることが報告されています。
~BZD長期投与に伴う副作用~
1)骨折
骨粗鬆症の治療が進歩した現在でも、骨折により寝たきりになる人の割合が減らないのは、BZDの服用が原因の一つなのではないかと考えられています。
2)認知機能の低下
BZDの服用で認知機能が低下する事が報告されています。眠気や注意力の低下などにより二次的に起こる可能性もありますが、服用中止で回復することからBZDが関係していることに違いはないとされています。
~自己判断で中止しない~
お薬は医師が診断をして、治療をする上で必要なため処方されています。自己判断での減量や中止は、病状の悪化だけではなくBZDの離脱症状を引き起こす可能性があります。
軽度な離脱症状としては不安・不眠・動悸・頭痛などが、重篤なものでは記憶障害・幻覚・妄想などがあります。
中止や減量を希望する場合は、どのような目的で処方されているのか、中止や減量が病状にどのような影響を与えるのか、代替薬に変えても問題が無いのかなどを医師、薬剤師に相談をして十分に検討するようにして下さい。